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菜の花と墨
菜の花や 月は東に日は西に
菜の花が咲いているだろうなあ ふと思ったらこの句が思い浮かんだ。
何も考えず 思わず
覚えやすさだけでふと思い浮かんだけれど
夕暮れ時 人々がいなくなった後の静寂につつまれ
日は沈みかけ 月は昇り始める
春の憂いを含んだ空気が赤みを帯び青い夜を連れてくる。
おお これはマジックアワーだわ とはじめて気が付いた。
小学校の授業で何が一番好きだったかというと
私はお習字の時間だ。
お習字はたいていお昼休みの後。
掃除をしてきれいになった教室でみんな一斉に墨をすった。
墨をする時間は決しておしゃべりしてはいけない決まりになっていて、しんと静まり返った教室で心を落ち着かせるために静かに静かに墨をするのだと繰り返し教わった。
教室の窓の外が緑で萌えるような日も、夏の暑さにぶるぶる汗をかく日も、教室が墨の香りに包まれる静かな時間がとても好きだった。
奈良の近に住んでいたので、何度か墨を作るところを見学したことがある。
天井が低い小さな部屋で 幾つも幾つも何段にも並べられた小皿に油を入れ火をともしていた。
炎の上にまた皿をかぶせススを集めるようになっていた。部屋はススでどこもかしこも分厚く重なったススで真っ黒。スス集めてニカワと香料を合わせ職人さんが真っ黒になりながら足で墨を練り、型に入れて墨を作っていた。
ススを造る油は菜種油
あの一面黄色に染める花がなければ 漆黒の墨を作ることは出来なかったのだ。
私の記憶では菜の花と墨はセットなのだ。
菜の花畑のたそがれ時はあたりがどんな色に見えるか 見に行ってみたいと思う。
2010/03/16 (Tue.) Trackback() Comment(4) !
Comments
かわたれ時ともいうのですか。
その時間の有り様を一言で言い表してしまう
しかもとても美しい。
大切にしたいですね。
やっとゆっくりした時間を楽しめるようになりましたね。お弁当作って夕方公園で食べようというと、何で昼じゃないのかと相手にされません。
いいもん そのうち毎日夕陽に向かって手を合わせ有難い有難いと拝んでやるさ。
タクサン もうすぐお誕生日ですね。
すずめ 2010/03/16 (Tue.) 12:59 edit
夕方を黄昏時、明け方をかわたれ時と言うようです。
>タクサン もうすぐお誕生日ですね。
そうなんです。もうすぐ誕生日なんです。
でもまあ、周りも一緒に年を取っていますので、
それほど変化は感じませんがね。
新しい会社でゆったりと仕事をしていますが、
期末はやはり忙しく、これはいつまで経っても
おんなじです。
家の近くにある大堀川の川沿いは 人の顔さえ良く分からないほどの早朝から散歩の人がいっぱい。こんな風な時間帯が かわたれ時ですね。
それにしても 皆さんすごく歩くのが早い。
きっと出勤前なんでしょうね。
すずめ 2010/03/18 (Thu.) 17:07 edit
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黄昏時とかわたれ時。
高校の時、古文で習って、日本語は美しいと感じました。
大学の時、習字を習っている友達が、墨を半日以上すっているんだと聞いて、私にはとても出来ないと感じました。
1時間くらいなら墨をすれるかなと感じる、アラカンの私です。
タクサン URL 2010/03/16 (Tue.) 09:28 edit